【博士後期課程の就活】内定あるのに博士号を取れないことが判明して退学した話

お久しぶりです。Oデス。

博士後期課程の就活の情報って少ないですよね。
そもそも博士後期課程の学生数が少ないですし,学部や修士課程と比べてキャリアの多様性があって,人それぞれな側面が大きいですから。

かくいう私は某国立大学の博士後期課程を単位取得満期退学して民間企業に就職しました
ここでは,私が体験した悲喜こもごもの失敗談から,博士後期課程の学生の皆さまのお役に立つかもしれない情報をお届けします。

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就活をして内定をもらう

本記事の趣旨から外れるので詳細は省きますが,民間企業で仕事をしてみようと思って就活を行い,D2の終わり頃(2021年3月)には内定を頂いていました。
嬉しいですね。
このとき,博士後期課程学生を対象とした選考プロセスに乗っていたので,2022年3月時点で博士号を取れないと問題が生じる状況にありました。

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博士号の取得が危ぶまれる

私の所属していたところでは,博士号を取得するためには,国際ジャーナルに第一著者として少なくとも1報の投稿論文を通す必要があります。(その他,国際学会等に関する要件もあるらしいのですが,明文化されたものを見たことがないので割愛します。)

D3にして海外ジャーナルの論文業績なしという厳しい状況です。

2022年3月で学位を取得するためには,学位取得申請を2022年1月頃に行うため,2022年1月時点で既に投稿論文がアクセプトされている必要ありました。
投稿論文は査読に数ヶ月を要することが多いので(長めに見積もって半年とすると),2021年7月の初めには投稿を完了している必要があったわけです。

私も早め早めのスケジュールで動いていたつもりだったのですが,投稿するジャーナルを変えたり論文の内容の大幅修正をしたりしているうちに締切(2021年7月)を超過してしまい,この時点で2022年3月時点での博士号取得が危ぶまれました
「やばい,博士として内定もらっているのに博士号取れないぞ」という状況です。
結構辛い。

指導教員,内定先との交渉

既に色々と計画が破綻していますが,被害をなるべく少なくして胴体着陸する方法を模索します。
このとき,大まかに次の3パターンの可能性がありました。

  1. 契約不履行につき,内定は取り消し
  2. 博士後期課程に継続して所属(オーバードクター)して学位取得を目指し,内定は保留してもらう
  3. 博士後期課程を単位取得満期退学した後に学位取得を目指し,通常通り内定先に入社する

まずは,指導教員に自身の状況を伝えるとともに,自分がどうしたいかを伝えて,了承してもらいました。
私の第一希望は3.で,3.がダメでも2.ならよし,できれば1.は避けたいという状況でした。
就活をやり直すのは面倒ですし,オーバードクターもしんどそうですから。
とりあえず就職して安定したお金(給与所得)が欲しかったです。

次に,内定先に謝罪するとともに交渉を行いました
連絡するのをグダグタと先延ばしにしてしまい,結局2021年11月頃に連絡しました。
結論を言うと,2022年の秋(9月)までに学位が取れそうなのであれば,3.と2.のどちらでも好きな方を選べました
上述の希望通り,3.の単位取得満期退学して入社する道を選びました
「2022年の秋(9月)までに学位が取れそうか」に関しては,指導教員が人事の方と話すことで担保してくださいました。
詳しくはわかりませんが,初年度の上半期(2022年4月-9月)は試用期間のようなものらしく,それまでに学位を取れば問題ないというロジックだったと思います。
しかし,実際に博士号を取得して就職した人と差別化するために,基本給は減額するとのことでした。(実際の減額の幅は数千円程度だったと思います。)
ここら辺は企業によって差がありそうです。
特に,毎年博士を新卒採用している企業では,私のような標準年限で学位取得できなかったケースも想定されているはずなので,スムーズに話が進むような気がします。

退学届を出す

方針が決まったので,次は退学届を大学に提出します
年末年始(2021年12月末-2022年1月初め)頃に出しました。
偉い人たちの判子を集める必要があったりして,地味に手間がかかります。
ちなみに,単位取得満期退学してから3年以内に学位取得要件を満たして博論を提出し認められると,課程博士とし認められるようです。
この頃には吹っ切れていて,退学届を出したときはむしろ清々しさすら覚えました。

単位取得満期退学して入社へ

その後,2022年3月まで論文を書いたり入社のための準備をしたりして過ごし退学,2022年4月に入社しました
引っ越しが大変でした。

投稿論文その後

結局,投稿論文は2021年12月に投稿して,2022年5月にアクセプトされました。
5ヶ月かかりました。
投稿はお早めに。

まとめ

以上,内定あるのに博士号を取れないことが判明して退学した話でした。
単位取得満期退学して入社する道もありましたよ,という話です。
内定あるけど論文業績ない人の参考になれば幸いです。
博士後期課程は辛いことも多いと思いますが,あまり思い詰めずに頑張ってください。
(私もまだ学位を取りきれていないので,もうひと頑張りしないといけないのですが…)
(学位取れました!!)

コメント

  1. くろ より:

    D3で修了後の進路のために就活をすると、修了が遠のくというジレンマを抱えながら、不安に思っていたところこちらの投稿を読ませていただきました…!
    色々と選択肢はあるんだなあという気がし、気持ちが軽くなりました!ありがとうございます!
    学位取得おめでとうございます!

    • O より:

      くろさん,コメント(&お祝い)いただきありがとうございます
      博士課程には形容しがたいしんどさがありますよね…
      なにとぞご自愛ください!
      ご健勝とご多幸を陰ながらお祈りしております…!

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