奨学金負債900万円の返済計画

エッセイ
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はじめに

みなさんは奨学金を借りていますか?

今回は奨学金(という名の学資ローン,借金,負債)と共に10年以上生きてきた私(博士(工学))が考えながら実行している持続可能な奨学金返済計画についてお話しします.
奨学金の返済に頭を悩まされて夜も眠れない人のお役に立てるかはわかりませんが,同じく頭を悩ませ続けている仲間がここにもいることを知らせることはできます.

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博士号を取るまでにかかった奨学金は約900万円

数字の話だけだと無味乾燥になってしまうので,少し身の上話をします.(興味のない方は次節へGo)

私と奨学金の初めての出会いは10年以上前になりまして,高校生の頃に遡ります.
公立中学校をクラスで上から3番目くらいの成績で卒業した私は,行きたかった公立の難関高校の受験に落ちてしまったので,滑り止めで合格していた私立高校に進学しました.
私立高校への進学が決まった後に,どうやら奨学金というものを借りないと学費を支払えないほど実家の家計状況が厳しいことを知りまして(事前に知っていたら,確実に受かる公立高校を受験したでしょう.親が子供に家計を隠したがるの,子供に遠慮してほしくないと思う気持ちはわかりますけど,実際困りますよね.まあ,片親家庭だったので推して知るべし,私自身の無知によるところもありました),県の奨学金を借りました.
高校3年間で約100万円の借金です
予備校にも通いたかったので,学校終わりや休日にファミレスのバイトをしていました.
(普通にバイトする時間を勉強に充てた方がよかったと思いますが,当時は視野が狭かったですね)

しかし,大学受験も失敗してしまいます.
ここから2年くらいしんどすぎて記憶が怪しいんですが,色々なところで働いたり(工場で段ボールを無限に開き続けるバイトは印象に残っている),昼間から公園のベンチで昼寝したり,町の図書館や青空文庫で古典文学を読み漁ったりしていました.
奨学金に関しては,このとき既に返済が始まっており,はじめはアルバイト代から返済していました.
数回目の返済を終えた頃,アルバイトで稼ぐことの効率の悪さ(当時はファミレスのアルバイトの時給が730円だったと記憶しています.1日8時間働いて5840円なので,1月に15日間フルで8時間働くと月収87600円になります.そのうちの半分を返済に充てると約2年で完済できますが,不毛な時間の切り売りを2年間続けることに意義を感じませんでした.普通に大学卒業してから就職した方が時給が上がって効率もいいだろうという判断でしたね.)と,自分には受験勉強とアルバイトを両立する才能がないことに気がついたので,返済をやめます.
進学準備中という理由で返済を待ってもらえる制度を利用しました.

大学受験に関しては,入試で優れた成績を残すと4年間にわたって授業料を無料にしてくれる私立大学がありまして,試しに受けたら4年間の学費無料券をくれたのでそこに進学しました.
国立・公立大学でも学費免除を受けられれば問題なかったのですが,万が一に学費免除を受けられなかった場合に,勉強・研究とアルバイトを両立する自信がなかったので,入学時点で4年間学費免除を提案してくれるのは非常に魅力的でした.
大学ではアルバイトせずに学問に集中したかったのです.
ちなみに,このときは数万円の受験料を捻出することすら結構厳しかったのですが,すでに大学生になっていた兄弟が助けてくれました.
当初行きたかった大学には行けませんでしたが,面白そうな研究室もありましたし,別に大学が変わっても学ぶことが変わるわけではないからいいだろうと考えていました.

実家からは通えない距離の大学だったので,ここで一人暮らしを始めます.
実家から離れることができたのは幸いでした.
学費は4年間無料なので,あと必要なのは生活費と書籍代です.
アルバイトと勉強・研究を両立するのは無理だとわかっていたので,日本学生支援機構(JASSO)の奨学金を借ります.
最初は第一種の月8万円とかで誤魔化していたのですが,欲しい専門書がたくさんあったり親に仕送りをしなくてはいけなかったりして,途中から第一種と第二種の奨学金を満額月20万円借りていました.
当時の記憶として強く残っているのは,「1日大体4000円あれば生きていける」という数字です.
1月あたり約12万円で生活していたようですね.
パスタと塩とオリーブオイルと卵で生活していたあの日々が懐かしいです.
残りの8万円は実家に送っていました.
ちなみに,ことあるごとにお金を求められて,このとき実家との縁を切ることを本気で悩んだんですが,情が深くなりすぎていて無理でした.
若干脱線しましたが,学部生の4年間で約800万円の奨学金を抱え込みました

その後,研究に目覚めた私は他大の大学院に進学するのですが,幸いにも大学院に進学した後は様々な経済支援制度(リーディングプログラム,RA(リサーチアシスタント),企業の給付奨学金,学振(日本学術振興会)特別研究員)に恵まれまして,奨学金を増やすことなく(むしろプラス収支で)博士課程5年間を終えることができました(今ここ).

以上まとめますと,私の人生に関しまして,博士(工学)を取得するまでに,高校生の頃の県奨学金約100万円と学部生の頃のJASSO奨学金約800万円を合わせて約900万円の奨学金負債を抱えることになりました

前提として,これらの奨学金によるご支援がなければ,ここまで辿り着くことは全く不可能だったので,支援してくださった方々には非常に感謝しています.

しかし,ここでいう奨学金は貸与型,貸し与えられたものは返さなければならない決まりです.900万円の借金(毎月5万円程度の返済)を抱えながら飛ぶ方法を知らなければ,速やかに地に落ちるでしょう.
そのような方法は誰も教えてくれないわけですから,自分で考えなくてはなりません.

奨学金という名の借金900万円をいかに返済するか

ここでは私が実行している対策を提示します.
状況が変われば対策も変わりますので,鵜呑みなさらずにご参考ください.

対策1. 固定費の削減:社宅・寮に住む

一人暮らしをしたことのある人は,毎月5万円の家賃を払うことの大変さをよく知っていると思います.
大学を卒業した途端,この負担が日々の生活費に+αとして降りかかります.
それを踏まえたうえで,固定費を最小化することが有力な対策になります.
最も大きな固定費である家賃を減らすことが勝利へのカギです
「社宅」,「寮」,「借上げ」,「家賃補助」等,表現は変わりますが,福利厚生に手厚い企業を探して就職しました.

私は現在会社の寮に住まわせてもらっているのですが,家賃が約1万円です.
大学院にいたころに住んでいた家の家賃が約6万円だったので,家賃に関しては約5万円節約することができている計算になります.
既に奨学金の返済相当額を打ち消すことができています.

多くの人にとっては,これだけでも十分な対策かもしれません.

対策2. Devide and Conquer: 返済の遅延と分割

費毎月5万円の家賃を支払うように,毎月5万円の奨学金の返済を着々と15年間続ける.
これがまず初めに思い浮かぶシンプルな返済計画でしょう.
しかし,手取り20万円であれば,返済に5万円を充てると残り15万円.
これはギリギリ文化的な生活ができるかどうかというラインです.
できればもう少し余裕を持たせたい.

複雑な問題はそのまま取り扱うよりも,簡単な問題に細分化してから各個解決するに限ります(Devide and Conquer)

私の場合,約900万円の奨学金の内訳は県の奨学金約100万円(無利子),JASSO奨学金(第一種,無利子)約300万円,JASSO奨学金(第二種,有利子)約500万円の3種類から成ります.

この内,JASSO奨学金に関しては大学生であれば返済を待ってもらうことができます.
したがって,大学生の身分を確保することにより返済を先送りにできます.(制度が改悪されてしまったので,期間限定ですが…)
私は放送大学に入学することにより,会社員でありながら大学生の身分を確保し,JASSO奨学金の返済を待ってもらうことができました.
(もちろん,自分の専門外の分野を勉強することは視野を広げることにも役立ちますので,年間最低1万円程度かかりますが,生涯学習の観点からもおすすめです)

JASSO奨学金の返済は私の場合最大5年間待ってもらうことができるので,その間は県の奨学金約100万円の返済に集中することができます.

したがって,最初の5年間は県の奨学金に集中して毎月約1万円の返済を行い,6年目から8年目まで5万円強の返済(ここで県の奨学金は完済),9年目以降に4万円強の返済(JASSO奨学金のみ)に集中するという戦略です.

大体の問題は解決を先送りすることにより悪化しますが,奨学金は返済猶予期間において増えないのに対して,会社員の給料は勤続年数の経過に関して増える傾向にあるので,この場合は先送りすることにより状況が好転することが期待されます.

対策3. 株式投資による返済の高速化

通常のローン・借金と奨学金の大きな違いは金利にあります.
奨学金の金利はめちゃくちゃ低いです.
よくあるキャッシングローンの金利が18%,低金利で知られるカーローンが1-2%であるのに対して,JASSO奨学金(利率見直し方式)の金利は高々0.1%程度です.(日銀の実質利上げ宣言を端に発して,今後は上がってしまうかもしれませんが…)

株式投資の平均的な利回りが5%程度であると仮定すると,手元の現金を奨学金の返済に充てるよりも,株式投資に充てて増やしてから返済することにより,より早く完済できる可能性があります

私はSBI証券のNISA口座において,SBI・V・S&P500を毎月5万円分クレジットカードで積み立てています.
クレカ積み立てはポイントが付く時点でおすすめですし,自動で月初めに5万円分決済してしまうことで意図しない無駄遣いを抑制する効果もあります.
毎月の収入のブレが少ない会社員の方は特に取り入れることをおすすめします.

最近の米国株は予断を許さない状況が続いていますが,数年後に米国経済が復興してくれれば大きなリターンが見込め,奨学金の返済速度の高速化が期待されます.

おわりに

以上,私の奨学金負債900万円の返済計画でした.
今後も返済状況を随時報告していきたいと思います.

全国の奨学金返済戦士の皆さん,一緒に返済頑張っていきましょう!


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