この記事は主にレビュー論文である Liu et al., 2019 を参考に書いています.

Corticomuscular coherence でわかること

Corticomuscular coherence はEEGやMEGとして計測される皮質の活動と筋電図(EMG)として計測される筋肉の活動の間のコヒーレンスのことです.コヒーレンスはあるシステムに対する入力と出力の対応を調べる際に用いられます.つまり,Corticomuscular coherence を調べることで筋肉の活動を出力とした場合,皮質の活動がその入力になっているかを明らかにすることができます.

発生メカニズム

Corticomuscular coherence が発生するメカニズムとして,皮質脊髄路を介した一次運動野と筋肉の間のコミュニケーションが考えられています.このコミュニケーションには一次運動野から筋肉への遠心性の投射と,筋肉等の固有受容器から一次感覚野への求心性の投射の2つが存在します.近年の研究から2つの投射はどちらもコヒーレンスに反映されることが示唆されています(Hellwig et al., 2001; Fang et al., 2009; Airaksinen et al., 2015).

Corticomuscular coherence で重要とされる周波数

15-45 Hz でのcorticomuscular coherence の値が動的な力の上昇とともに線形に増加することが知られています (Chakarov et al. 2009).

また,調査によるとベータ帯域(13-30 Hz)のコヒーレンス値が静的な力と相関し,ガンマ帯域(31-45 Hz)のコヒーレンス値が動的な力と関係することも報告されています (Gwin and Ferris, 2012).

筋電図の前処理まとめ(先行研究)

筋電図の前処理まとめ

サンプリング周波数
(リサンプル)
フィルタ
(整流前)
全波整流フィルタ
(整流後)
Hellwig et al., 20011000 Hz50-200 Hzありなし
Fang et al., 20091000 Hz10-500 Hzありなし
Chakarov et al., 20091000 Hz5-200 Hzありなし
Airaksinen et al., 20151012 Hz0.03-330 Hzなしなし
Gwin and Ferris, 20091000(512) Hzなしありなし
Yoshida et al., 20182000 Hz20-450 Hzありなし

参考文献

Liu, Jinbiao, Yixuan Sheng, and Honghai Liu. “Corticomuscular Coherence and Its Applications: A Review.” Frontiers in Human Neuroscience 13 (2019). https://doi.org/10.3389/fnhum.2019.00100. CC-BY

Hellwig, B, S Häußler, B Schelter, M Lauk, B Guschlbauer, J Timmer, and CH Lücking. “Tremor-Correlated Cortical Activity in Essential Tremor.” The Lancet 357, no. 9255 (February 17, 2001): 519–23. https://doi.org/10.1016/S0140-6736(00)04044-7.

Fang, Yin, Janis J. Daly, Jiayang Sun, Ken Hvorat, Eric Fredrickson, Svetlana Pundik, Vinod Sahgal, and Guang H. Yue. “Functional Corticomuscular Connection during Reaching Is Weakened Following Stroke.” Clinical Neurophysiology 120, no. 5 (May 1, 2009): 994–1002. https://doi.org/10.1016/j.clinph.2009.02.173.

Airaksinen, Katja, Tuuli Lehti, Jussi Nurminen, Jarkko Luoma, Liisa Helle, Samu Taulu, Eero Pekkonen, and Jyrki P. Mäkelä. “Cortico-Muscular Coherence Parallels Coherence of Postural Tremor and MEG during Static Muscle Contraction.” Neuroscience Letters 602 (August 18, 2015): 22–26. https://doi.org/10.1016/j.neulet.2015.06.034.

カテゴリー: サイエンス

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博士後期課程学生 研究中に気づいた事を中心に記事を作成していきます.研究内容は主にヒト運動計測と脳波解析.

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